在宅お役立ち情報

care-eco's magazine

2021/05/26

【寄稿記事】栄養のマメ知識

みなさま、お元気にお過ごしでしょうか?
認定栄養ケア・ステーション ちょぼ代表の管理栄養士、桒原理江と申します。
今回は栄養にまつわるマメ知識を少し紹介させて頂きます。

■なんで3回食べるの?
みなさまは1日に何回食事しますか?
断食派、2食派など色々ありますが、3食をオススメする理由の一部をご紹介します。

①「1日かけて、身体が1日に必要なエネルギーや栄養素を摂り込むため」
→1回にたくさん食べられない場合は、間食(おやつ)で補うことも大切です。

②「身体に居られる時間が短い栄養素や、短い時間で使い果たしてしまう栄養素があるため」
→脳が栄養不足になると、判断力や記憶力が低下します。また、なんと脳の萎縮も招いてしまうそうです。

③「一度に吸収できる量には限りがあるため」
→たんぱく質を1日3回食べると、2回食べた時より、筋肉の合成が25%アップ!!

④「生活リズムを整えるため」
→朝食を食べて15時間後に覚醒と睡眠ホルモンが切り替わり、睡眠導入スイッチが入ります。

3食しっかり食べることで、身体の調子を整えたり、リハビリの効果をあげたり、夜はぐっすり眠ることができます。
毎日を元気よく過ごせるよう、1日3食 食べることをおすすめします。
習慣のない方は、まずは、ヨーグルト1個、バナナ1本から、はじめてみてはいかがでしょうか。

■何を食べたらいいの?
「栄養」と一口に言ってもたくさん種類がありますが、必要な栄養は次の5つに分けることができます。これを「5大栄養素」と言います。


・炭水化物
脳や身体が動くためのエネルギー源になります。

・タンパク質
血や筋肉など身体をつくる材料になります。
・ミネラル
細胞の調子を整えたり、骨や歯を作る材料になります。

・ビタミン
ホルモンバランスを整え、栄養の代謝を行い身体の調子を整えます。
炭水化物をエネルギーに換えるのも、ビタミンです。

・脂質
細胞膜やホルモンの材料や、身体が動くためのエネルギー源になります。
皮膚の保湿や快便のためにも必須!!
ただの悪者ではありません。

以上、5大栄養素をご紹介しました。
いろいろな役割の食材をバランスよく食べることが大切です。
「お野菜をたくさんもらったから野菜ばっかり」
「ごはんと梅干しで充分」
ではなく、野菜を卵と炒めたり、豚汁にしたり、ごはんと納豆にしたりと、違う種類の食材を組み合わせることができると、おいしくて身体にもよいです。

とは言っても、「そんなのなかなかできないよ!」という方もおられますよね。

食事や栄養についての「困った!!」
「これでいいのかな...」は、ぜひこちらまでご相談下さい!

認定栄養ケア・ステーション ちょぼ
〒 431-3122
浜松市東区有玉南町1867-1 Dexi内
TEL : 050-5866-3767
FAX : 050-3588-2881
MAIL: chobo.care@gmail.com
代表 桒原理江(管理栄養士)
◆栄養相談
◆料理教室
◆栄養講座
◆施設利用者さんの栄養管理
◆栄養補助食品の受注販売
.....などなど!!
みなさまとできることを模索中です。お気軽にお問い合わせください!

2021/05/18

鍛えよう!飲み込みの力

在宅療養において誤嚥性肺炎は大敵です。 


誤嚥性肺炎をきっかけに体力がさらに低下し、ご自宅での生活が続けられなくなってしまう方も多々おられます。また、誤嚥性肺炎は日本人の死因第6位にランクインしており、多くの方が誤嚥性肺炎で最期を迎えられていることが分かります。


厚生労働省:令和元年(2019) 人口動態統計月報年計(概数)の概況


誤嚥性肺炎は、本来食道から胃に入るべき食べ物が、誤って気管から肺に入ってしまい(これを誤嚥と言います)、食べ物に付着した口の中の雑菌が肺の中で増殖することで起こります。


人間の飲み込みは複雑に行われており、誤嚥を起こすメカニズムには色々な原因があります。その一つは、ご年齢やご病気のために飲み込みの力(専門用語で嚥下機能と言います)が落ちてしまうことです。飲み込みは、のどの筋肉が上手に動くことで円滑に行われます。体の筋肉と同じように、のどの筋肉も徐々に弱くなってしまいますので、飲み込みの力を維持することが誤嚥性肺炎の予防につながります。


今回は、ご自宅でもできる、飲み込みの力を保つ方法についてお話させて頂きます。


■飲み込みの力を判定する方法

まず、飲み込みの力が落ちているかどうかを判断する方法をご紹介します。

ちゃんと調べるには、専門的な知識を持った医療スタッフが見る必要がありますが、簡易的に行える方法が2つあります。


1. 喉頭挙上検査

喉頭というのはのどのことですが、正しい飲み込みではのどが一度上に上がります(皆さんも試してみて下さい)。右手を平手の状態にし、横から中指の先をのど仏に当てます。その状態で唾を飲みこんでもらい、のど仏が人差し指まで上がれば正常です。そこまで上がらなければ、飲み込みの力が落ちている可能性があります。


2. 反復唾液嚥下テスト

まず、口の中に唾液を溜めます。口が乾いていたら少し湿らせます。その状態で、30秒間に何回唾液を飲みこめるかを数えます(むせるようでしたらすぐに中止して下さい)。

3回以上飲み込めれば正常ですが、それ以下ですと飲み込みの力が落ちている可能性があります。


■自宅でできる飲み込みリハビリ

いかがでしたでしょうか。

それでは、ここからご自宅で簡単にできる嚥下訓練の方法をご紹介します。


1. おでこ体操

のどの筋肉を鍛える体操です。やり方は、まずおでこに手を当てます。そして、手とおでこを力比べするように押し付けます。これを1日5~10回行ってください。

おでこ体操


2. 嚥下体操

食事前に行うとよい、一連の体操です。以下を順番に行いましょう。


①深呼吸をする。

②首を回す。

③肩を上げ下げする。

④両手をあげてのびをする。

⑤ほおを膨らませたり、しぼめたりする。

⑥舌を左右、上下に動かく。

⑦息をのどに当てるように吸い、三つ数えて吐く。

⑧「パ、タ、カ、ラ」をゆっくり10回言う。

⑨最後にもう一度深呼吸をする。


以上です。これを全部行うのが大変な場合は、できるものだけでも大丈夫です。


いかがでしたでしょうか。食べることは人生でも大きな楽しみの一つだと思います。

飲み込みでお困りの方はぜひ試してみてください。

大事なことは、少しずつでも毎日行うことです。きっと効果が実感できるはずです。

もしご自宅で難しい場合には、専門のスタッフによる訪問リハビリが可能な場合もあります。

また、誤嚥性肺炎の予防には口腔ケアも大切です。こちらもご参照下さい。

お口の健康と在宅療養


安間 章裕(アンマ アキヒロ)

日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医

2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。


2021/05/08

救急車、呼ぶ?呼ばない?

在宅医療を受けていると、主治医の先生から必ずと言っていいほど「いざという時、救急車は呼びますか?」と聞かれると思います。 

しかし、突然そのように聞かれても困惑してしまうのではないでしょうか?

近年、救急車は呼ばない方が良いという風潮もあるように感じますが、私自身はケースバイケースだと思っています。

今回は、救急車を呼ぶかどうかを判断する時に私が考えることをお伝えしようと思います。


■救急車を呼んだあとはどうなるの?

そもそも救急車を呼ぶとどうなるのでしょうか。

救急車が自宅に来ると、まず救急隊の方から救急車を呼んだ経緯や症状を聞かれます。

そして、救急隊の判断で適切と思われる救急病院へ搬送することになります。

救急隊が救急車内である程度の処置をしてくれる、と思われている方もいらっしゃるかも知れません。しかし、実は救急隊ができる医療行為というのは、今の法律では命に関わる最低限に限られています。

つまり救急車の役割は、一刻も早く患者さんを病院へ送り届けることになります。

要するに、救急車を呼ぶ=救急を受診する、ということになります。


■救急車の一番の使命は「命を救うこと」

救急車が作られたきっかけは、昭和の初めにかけて自動車が増え、交通事故で亡くなる方が急増したことでした。 東京消防庁HP

そのため、創設時からの救急車の使命は、「救える命を一人でも救う」というところになります。

もし心臓が止まっている状態ならば、心臓マッサージ、電気ショック、気管挿管(口から気管に管を入れること)が行われ、徹底的に蘇生が試みられます。

また、救急車を受ける救急病院側も同様に、患者さんを「治す」ことに全力を尽くすことを目的としています。そのため救急車で運ばれた方には、基本的にはあらゆる治療が行われることになります。

しかし残念ながら在宅医療を受けられている患者さんの多くは、もともとご年齢や持病といった背景があり、そういった治療で回復が期待できることはほとんどないというのが現実です。

実際に、70代以上の方が心臓が止まった状態で救急車を呼んだ場合、その後もとの状態に回復される方は数%という結果のようです。

令和2年版 救急救助の現況(消防庁)

むしろ、心臓マッサージによって肋骨がベコベコになってしまうなどの負担もあります。


■救急車を呼んだほうが良い場合

では、在宅療養をされている方は皆さん具合が悪くなっても救急車を呼ぶべきではないのでしょうか?

これについては色々な意見があると思いますが、私は呼んでもいい場合があると思っています。

先ほど申し上げたように、救急車=救急病院への受診ですが、在宅医療を受けている方の場合、ご自宅でもある程度の医療処置が受けられます。もちろん病院ほどの専門的かつ高度な処置はできませんので、治してほしいというご希望は叶えられません。

なので、何が何でも治りたい、治したいと望まれる方は救急車を呼ぶべきです(それでも治るかどうかは分かりません)。

治すのではなく、穏やかに最期の時を過ごしたい、というご希望であれば在宅医療でも十分にお手伝いできます。

しかし、不幸なことに中には在宅医療でも対応が難しいケースがあるのも事実です。

具体的には、「息が苦しい」「痛み止めを使っても痛みが強い」などという場合です。

この場合には病院での処置でないと、苦しみを取り除くことがなかなかできません。

私自身は、訪問診療患者さんの状態が変化したときに救急車を呼ぶかどうかの判断基準として、「患者さんに苦痛があるか」「もしあるなら、それは病院でないと解決できないか」の二つを考えています。もし二つとも答えが「はい」ならば、やむなく救急車を呼んで搬送をお願いします。もちろんその場合には病院へ直接ご連絡し、事情を説明します。


■救急車を呼ぶメリット、デメリット

長くなりましたが、救急車を呼ぶメリット、デメリットをまとめますと以下のようになると思います。


・メリット

1. 一刻も早く病院へ受診でき、高度な治療を受けられる

2. 万一搬送中に心臓が止まっても、蘇生処置(心臓マッサージなど)を受けられる

3. これらによって、寿命が延びる可能性がある


・デメリット

1. 心臓が止まった場合、心臓マッサージにより肋骨がベコベコになる

2. そのまま入院になり、自宅に戻れない可能性がある

3. 穏やかに過ごしたいと思っている方には負担が大きい


■一番大切なのは、「ご本人がどのように過ごしたいか」を考えること

以上、いざという時に救急車を呼ぶかどうかについて述べさせて頂きました。

難しい決定ではありますが、やはり一番はご家族の思い、そして「ご本人がどのように過ごしたいと思っているのか」に尽きると思います。

それを理解するためには、日頃から思いを話し合っておくことがもっとも大事なことです。

主治医の先生、関わって下さっている多職種の方たちとも話してみると良いと思います。


安間 章裕(アンマ アキヒロ)

日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医

2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。


2021/04/16

栄養、足りていますか?

皆さんは、「栄養不足」と聞くとどんなことをイメージするでしょうか? 

豊かになった現代の日本では縁遠いように感じるかも知れません。しかし、厚生労働省のデータによると、実は65歳以上の16.8%が栄養不足になっている可能性があるのです。

令和元年「国民健康・栄養調査」の結果

在宅療養をされている方は、栄養が不足するリスクが高いため、特に注意する必要があります。

今回は、栄養不足の見極め方と対応についてご説明します。


■栄養が足りないとどうなるの?

そもそも栄養が足りないと何か悪いことが起こるのでしょうか?

栄養が足りていないと体には色々な悪影響が出てきます。

・免疫が下がる

免疫を担当するのは白血球という細胞ですが、栄養が足りないとこの白血球が十分作られなくなります。結果、免疫力が落ちて、感染症にかかりやすくなってしまいます。

・骨折しやすくなる

当然ですが、骨もカルシウムやタンパク質といった栄養から作られます。

これらが足りないことで、骨が折れやすくなってしまいます。

・筋力が落ちる

筋肉も同様にタンパク質から作られますので、栄養が足りないと筋肉の量も減ってしまいます。また、筋肉はカロリーが足りない時に非常用エネルギーとして分解されるのです。

つまり、カロリーが足りない時も筋肉は減ってしまいます。筋肉が減ると、動けなくなって寝たきりになってしまう原因になります。

・褥瘡(床ずれ)ができやすくなる

栄養が足りないと、傷の治りが悪くなったり、皮膚が弱くなることが分かっています。

そのため、褥瘡ができやくなってしまいます。

・寿命が短くなる

栄養が足りないと最終的には寿命が短くなることが分かっています。

ある研究では、栄養が足りない人と足りている人を9か月間比べて見ていった結果、亡くなる人の割合は、栄養が足りない人では足りている人の倍、多かったのです。

参考文献

このように、栄養不足は在宅療養にとって大敵なのです。


■栄養不足はどうやって分かるの?

栄養不足が害とは分かっていても、実際に栄養が足りているかどうかというのはなかなか判断が難しいですよね。

そこで、私たち医療者が簡易的に使う指標をご紹介したいと思います。

・体重

体重は、栄養が足りているかの指標として最も簡便です。特に重要なのが体重の変化です。

半年で元の体重の10%が減っていると栄養不足の可能性があります。

・BMI

同じ体重でも体の大きさによって解釈が変わってきます。そのため、体重だけでなく身長も考慮した、BMIという数値が必要になります。

BMIというのは、Body Mass Index(ボディ・マス・インデックス)の略で、体格を表す指標の一つです。体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。例えば、身長165㎝(=1.65m)、体重60kgだと、BMIは60÷1.65÷1.65=22.0となります。

このBMIが20を下回ると、介護度が高くなったり、早く亡くなることが分かっています。

・二の腕の太さ(上腕周囲長)

在宅療養をされている方では、なかなか体重測定が難しい場合も多いかと思います。

そんな時は、二の腕の太さが参考になります。

測り方は簡単です。肩と肘のおおよそ中間地点で、腕の太さを測れば良いのです。

この太さが男性で23㎝、女性で22㎝を下回っていると、栄養不足の可能性があります。

・アルブミン

血液検査を定期的にされている方では、「アルブミン(ALB)」という数値が参考になります。この数値が、3.5を下回っていると栄養不足の可能性があります。

これらの項目に一つでも当てはまった場合には、栄養について一度見直してみることをお勧めします。


■栄養はどうやって摂ったらいいの?

とは言っても、実際に栄養を摂るにはどうしたら良いのでしょうか。

栄養と一口に言っても、エネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルなど、必要な栄養素はいくつかあり、それぞれ含まれる食品が異なります。

とは言っても、栄養を摂ることばかりに目が行き、ご本人ご家族ともにストレスが溜まってしまうようでは本末転倒ですよね。楽しく食事を摂るということも、人生を豊かにするために大切ではないでしょうか。

一度、かかりつけ医や栄養士さんにご相談されると良いでしょう。

【ケアエコ】栄養士訪問


この記事を書いた人:

安間 章裕(アンマ アキヒロ)

日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医

2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。

2021/03/28

尿漏れ予防は毎日の引き締めから!

【ウエルライフ地域リハビリテーション・看護センター所長/作業療法士 山田京子先生ご寄稿】

骨盤底筋を鍛えることで、尿漏れを防ぐことができます。今回は尿漏れを防ぐリハビリテーションをお知らせします。


<ハンモックのゆるみに注意!>

図のように骨盤底筋群は骨盤にハンモックのようについています。加齢とともに筋力が落ちゆるんでくるのは、想像しやしですね。

特に女性は妊娠や出産を経る方も多く、骨盤底筋群に負担がかかりがちです。考えてみましょう。ハンモックの上に生まれる前の赤ちゃん(3kgくらい)を載せていたら、ハンモックは下にさがりますよね。出産の際は開くわけですから、横に伸びてしまいます。

体の中のことで見えない分30代から骨盤底筋群のゆるみが始まっているのです。

でも以下の体操を日々の生活の中で心がけて頂ければ大丈夫。かくゆう筆者も咳をしたり、深くおしりを落として座った時の尿漏れに悩みましたが、現在は、その心配はなく過ごしています。


<骨盤底筋を鍛える体操>

①*上を向いて寝ます。

②肩幅に開いた両膝を曲げ、両手をおなかの上に置きます。

③ゆっくりとした呼吸で、肛門→尿道→膣の順に陰部全体を引き締めていきます。ぎゅっと引き締まったらからだをリラックスさゆるめます。

④「引き締める」「ゆるめる」を交互に行って下さい。

*慣れてきたら、椅子に座ったり、立っている時でも意識して行って下さい。


<男性の尿漏れ>

尿漏れは女性だけではありません。男性の場合は前立腺の病気で始まることも多く、そのサインを見逃さないようにしたいものです。

早期発見により薬物療法が効果を上げます。男性の方も心を引き締めましょう!


ウエルライフ地域リハビリテーション・看護センターのご紹介


2021/02/02

褥瘡の効果的な予防方法

在宅療養と褥瘡は、切っても切り離せられない問題です。 
ちょっと目を離した隙に、あらゆるところにできてしまいます。
褥瘡が治るには、大変な労力が必要になりますし、すっきり治らないことも多々あります。
できる限りの予防が最も大切だと思います。
今回は、在宅療養における褥瘡の予防についてお話させて頂きます。

■褥瘡は皮膚の異常ではなく全身の異常の表れ
褥瘡は、皮膚の血流が圧迫によって阻まれ、皮膚の組織に酸素が行きわたらずに、皮膚が死滅してしまうことで起こります。同じ部分が圧迫されているとたった2~3時間で褥瘡ができてしまうと言われており、そのために2時間おきの体位交換が推奨されています。
しかし、健常な人では同じ条件でも褥瘡はできません(高速道路の運転で褥瘡ができる方は滅多にいないと思います)。それは、栄養、血流、むくみなど、様々な要因が重なって起こるからです。つまり、褥瘡は皮膚だけの異常ではなく、全身の衰弱によって起こる症状だと言えます。

■褥瘡のリスク
ご高齢になるとどうしても寝ている時間が多くなってしまいますが、その中でも褥瘡ができやすい方、できにくい方がいます。
これまでの研究では、寝たきりであることに加えて以下の要因がリスクとして分かっています。

・骨の突出
・関節の拘縮
・栄養不良
・皮膚の湿潤(排泄物や汗など)
・むくみ

つまり、これらのいずれかに該当する方は(多くの方が複数該当すると思いますが)、特に褥瘡ができるリスクが高いものとして注意する必要があります。

■具体的な対策について
行うべき予防策は以下の4つです。

・マットレス選択
・ポジショニング
・スキンケア
・拘縮予防
・栄養

①マットレス選択
褥瘡予防においては、体にかかる圧力を分散させて、一か所に圧がかかり続けないようにすることが大事です。そこで体圧分散寝具(マットレス)を使います。
今は色々な種類が出ていますが、推奨されているのは、
「粘弾性フォームマットレス(ウレタンマットレス)」と「圧切替式エアマットレス」の2つです。
この使い分けですが、ざっくり言うと

・自力で体位交換ができる、もしくは頻回な体位交換が可能な環境
粘弾性フォームマットレス

・自力で体位交換ができず、頻回な体位交換が困難
圧切替式エアマットレス

を目安にして頂ければと思います。さらに、すでに述べたような褥瘡リスクのある方には、二層式(三層式)エアマットレスが推奨されます。
耐圧分散寝具を用いると、通常2時間ごとの体位交換は4時間ごとまで延ばすことができます。最近は自動体位交換機能が付いているものもありますので、これらをうまく使うことで介護する方の負担減少につながるかと思います。
ただ、機能の良いものは費用もかかりますので、機能と費用のバランスを考慮して最適なマットレスを選択する必要があります。

注意点としては、エアマットレスを使用していても四肢には褥瘡ができることがあります。
踵は浮かせ、手足を全体的にカバーできるウレタンクッションなども使うと良いと思います。

②ポジショニング
ポジショニングとは姿勢のことです。寝ている時の姿勢に気を付けることで褥瘡を防ぐことができます。
体の軸をまっすぐにすること、一点に圧がかからないようにすること、体がずれないようにすることが原則です。
横向きにする際、真横にしてしまうと耳、肩、転子部、くるぶしに褥瘡ができやすくなります。90°ではなく、クッションなどを入れて斜め30°を目安に横向きにすると良いでしょう。

③スキンケア
ムレや乾燥は皮膚を弱くし、褥瘡をできやすくしてしまいます。皮膚をやさしく清潔に保つこと、保湿剤をこまめに充分塗ることが褥瘡予防でも重要です。

④拘縮予防
すでに述べたように、関節の拘縮が褥瘡の強いリスクになります。
訪問リハビリなどを導入して、拘縮を和らげることを検討しても良いと思います。

⑤栄養
栄養が十分摂れていない方では、栄養状態を改善することで褥瘡が予防できます。
特に高カロリー高タンパクの食品が良いとされています。食事量が減ってきている方が多いとは思いますが、栄養補助食品をうまく組み合わせることで栄養状態が良くなることも多々あります。

以上、褥瘡の予防方法について述べさせて頂きました。
褥瘡を完全に防ぐことはとても難しいですが、褥瘡はQOLの低下につながってしまうので、少しでも減らすことができればと思います。

参考文献:日本褥瘡学会「褥瘡予防・管理ガイドライン(4版)」2015

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