心不全ってどんな病気!?【前編】

皆さんは「心不全」という病気を聞いたことがありますか?
心不全と聞くと、何となく怖い響きがありますよね。
高齢化に伴って、心不全をお持ちの方は今後増えてくると言われており、身近な病気になってくるでしょう。
今回は、この身近な病気「心不全」についてご説明したいと思います。
Q. どんな病気ですか?
不全というのは「十分な働きができていない」という意味です。
つまり、心不全というのは、心臓が十分働けていない病気なのです。
決して、心不全=心臓が止まってしまうというわけではありません(※心不全がかなり進むと、不整脈で突然心臓が止まってしまうことはあり得ます)。
人が生きるためには、体の中で血液がきちんと循環する必要があります。
心臓は体の中で血液を循環させる「ポンプ」の役割をしています。
心不全とは、このポンプが故障してしまうことで、体の血液がしっかりと循環しなくなる病気なのです。
心不全、つまりポンプの故障を起こす原因はいくつかあります。
・心筋梗塞
心臓の筋肉を動かす血管が詰まってしまう病気
・弁膜症
心臓の中にある弁が開かなかったり閉じなくなったりしてしまう病気
・心筋症
心臓の筋肉が固くなったり、逆にゆるくなってしまう病気
などです。
これらの病気のせいで、心臓からしっかりと血液が送り出されないことが、心不全を引き起こすのです。
Q. どんな症状が出ますか?
体の中で血液がしっかりと循環しないことにより、色々な症状が起こります。
初めはなんとなく元気がでなかったり、食欲がなかったり、ちょっと動いただけでしんどい、といった感じです。
それが進んでしまうと、血の巡りがよどむことで体に水が溜まってむくみが出たり、肺にも水がたまることで息が苦しくなってしまったりします。
また腎臓に十分な血液がいかなくなることで尿も少なくなります。
逆にその分、夜には尿が増えたりすることがあります。
心臓から十分な血液が体に送られないために、手足の先では血行が悪くなり、手が冷たくなったり色が悪くなったりもします。
ここまで、心不全の原因、症状についてお話させて頂きました。
後半では、治療や予防の方法についてお話したいと思います。
ぜひご一読ください。
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
2022年にえん在宅医療クリニックを開業。
眠れない!不眠の上手な解消方法

皆さんは夜しっかり眠れていますか?
夜眠れなくてお悩みの方も多いですよね。
特に、在宅療養しているご本人様が眠れないと、介護をしている方も眠れなくなってしまいます。
そこで今回は、在宅療養している方の不眠を解消する方法のお話です。
◆生活習慣のチェック
生活習慣を少し変えることで眠れるようになるかも知れません。
まずは改善できる生活習慣がないかチェックしてみましょう。
・日光をよく浴びる
自然な睡眠には体内時計が最も重要です。その体内時計を整えるのが日光となります。
朝起きたら、できるだけまず日の光を浴びるようにしましょう。
・日中に刺激を与えて起こしておく
これも体内時計を整えるのに重要です。ご本人の興味があることをやってもらうなどして、なるべく起きてもらうとよいです。
お昼寝はしてもよいですが、午後の早い時間までにしておきましょう。
・カフェインを摂らない
コーヒーはもちろんのこと、緑茶、紅茶などもカフェインが含まれます。
少なくとも寝る前3時間以内には飲まないようにしましょう。
また、カフェインには利尿作用もあるため、後述する夜間頻尿の原因にもなります。
・寝る前に水分を摂りすぎない
寝る前に水分を摂りすぎると、こちらも夜間の頻尿につながります。
◆体の不調のサインかも
実は、不眠が病気のサインのこともあります。
以下のような症状はないでしょうか。
・頻尿
よく聞かれるのが、頻繁に夜トイレにいくために眠れないというパターンです。
泌尿器系の病気などが隠れていることがあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
・息苦しい
夜になると息苦しくなってしまうことで眠れない、という場合があります。
これは、心臓の働きが弱っている「心不全」という病気のサインかも知れません。
その他、喘息や肺気腫などの肺の病気が隠れていることもあります。
・痛い、かゆい
体のどこかに痛みがあったり、皮膚の異常でかゆみがあったりして眠れない場合があります。
・せん妄
昼間は普通なのに、夜になるとつじつまの合わないことを言ったり、そわそわしたりして眠れない、という場合は「せん妄」という状態を起こしている可能性があります。
せん妄は、簡単に言うと「ひどい寝ぼけ」のような状態で、体にストレスがかかっていると発症します。ストレスを取り除いたり、お薬を使うことで和らげることができます。
・足がムズムズする
「なんだか足がムズムズするような感じがして眠れない」という方は、むずむず脚症候群かも知れません。
むずむず脚症候群は神経の異常により発症し、鉄不足、腎臓の障害などが原因となります。
以上のような症状に心当たりがある方は一度かかりつけの先生に相談してみましょう。
病気が隠れている場合には、その治療を行うことで眠れるようになります。
なかなか聞けないという方は、ケアエコの掲示板に相談してもらっても構いません。
◆睡眠薬との付き合い方
「睡眠薬は飲ませたくない!」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。
確かに睡眠薬は、副作用や依存が問題になることはあります。
ただ、上手に付き合うことで、害を最低限に抑えながらうまく眠れるようになります。
例えば、「ロゼレム」「ベルソムラ」「デエビゴ」といった新しい睡眠薬は、効き目はマイルドですが自然な眠りに近く、副作用や依存が少ないと言われています。
逆に注意が必要なのが、「ベンゾジアゼピン系」という睡眠薬です。
かなりたくさんの種類がありますので、具体的な名前は出せませんが、例えば~ゼパム、~ゾラムという名前のお薬が当てはまります。
これらのお薬は、依存性があり、さらに転倒のリスクが増えることが知られています。
なので、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を乱用することは避けた方がよいでしょう。
◆とはいっても急に止めると…
しかし、かといってベンゾジアゼピン系睡眠薬を長く飲んでいる方がこれを急に止めてしまうと、逆に良くないことが起こると言われています(離脱症状といいます)。
例えば、興奮してしまって逆に眠れなくなったり、不安が出てしまったりします。
なので、ベンゾジアゼピン系は急に止めてはならず、少しずつ減らしていくことが大切です。
いかがでしたでしょうか。
眠れない日々が続くことは本当に大変です。
少しでも安眠できて、穏やかな日々を送れるように願っております。
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
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2022年にえん在宅医療クリニックを開業。
【みんなどうしてる?】嚥下食の作り方(3)

ご自宅でできる嚥下食、最終回です!
■圧力なべを活用する
圧力なべも使い方によっては嚥下食を美味しく作ることができます。
特に煮物は味も染みて一石二鳥です。
■デリソフター
デリソフターは、嚥下食を作るのに役立つ調理器具です。
その特徴は、「隠し包丁 × 圧力と蒸気の力 × "やわらか科学" の掛け合わせ」で、料理の見た目やおいしさはそのままで、柔らかく食べやすくしてしまう技術です。
https://gifmo.co.jp/delisofter/about
お値段は¥47,300(税込)とお安くはありませんが、手間と時間が節約でき、家族と同じものが食べられるという利点があります。
動画で使い方を紹介しています。
https://www.youtube.com/watch?v=3Z8L6YR0JDA
■とろみ剤をつかったレシピ
飲み込みの力が大きく低下すると、食べ物を細かくするだけでなくトロミも付ける必要が出てきます。
とろみ剤を作っているニュートリーという会社が公開している、嚥下食のレシピです。
https://cookpad.com/kitchen/8317383
動画もあります。
https://www.youtube.com/user/NutriOfficial
ぜひ参考にしてみてください!
以上、嚥下食の作り方についてご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。
食事は生きていくのに必要であるとともに、毎日のことでもあります。
体に良いだけでなく、少しでも手軽に楽しくできたら良いかなと思います。
<終>
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【みんなどうしてる?】嚥下食の作り方(2)

前回に引き続き、ご自宅での嚥下食をご紹介します!
◆既製品を使う
・レトルトパウチ
嚥下食の準備が大変な時は、市販のレトルトパウチを活用するのが手です。
種類もたくさん出ています。
スーパー、ドラッグストアで売っています。
・お餅の嚥下食
お餅は、飲み込みの力が落ちた時に危険な食べ物の代表です。
しかし、お餅は大好きな人も多いですよね。
そんな方でも食べられるお餅があります。
もちろん、食感まで全く同じとはいきませんが、少しでもお餅の気分が味わえるのではないでしょうか。
・吉野家の牛丼
「安い、早い、うまい」牛丼でおなじみの吉野家さんは、嚥下食にした牛丼も販売しているそうです。
残念ながらうなぎは現在販売されていないようでした…
たまには贅沢に気分を変えて牛丼もいかがでしょうか!
次回も、ご自宅でできる嚥下食の工夫をご紹介します。
お楽しみに!
<続く>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
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【みんなどうしてる?】嚥下食の作り方(1)

食事は生きていくのに必須であると共に、生活の楽しみでもありますよね。
ただ、ご年齢を重ねたり、ご病気をお持ちだったりすると、どうしても飲み込みの力(嚥下機能と言います)が衰えてしまいます。
その結果、食べ物をむせやすくなってしまい、ちっ息や誤嚥性肺炎を起こす原因となります。
そのため、まずは飲み込みの力を保つことがとても重要です
それでも飲み込みの力が落ちてしまった時には、食べ物を食べやすくするように工夫することで食べ物が安全に食べられます。
これを「嚥下食」といいます。
とはいえ、食事は毎日のことですから、嚥下食を準備するのも大変なことですよね。
そこで、ご自宅でできる少しでも手軽に嚥下食が準備できる方法を複数回にわけてご紹介したいと思います。
■作りおきして冷凍しておく
お母様をご自宅で介護されていたCare Livingさん。
丁寧に嚥下食を作られており、一見手間がかかりそうですが、一度にたくさん作っておいて冷凍するというのは効率的で良いですね。
あとは、食べるときに牛乳でのばすというのも、味がクリーミーになるだけでなく、エネルギーやタンパク質も取れて良さそうです。
さらに、野菜に含まれているビタミン類の吸収も良くなります。
飲み込みの力が落ちている方にとっては、エネルギーやタンパク質は、飲み込みの力を維持・回復させるためにも大切な栄養素です。
卵を混ぜたりするのも良いでしょう。
エネルギーを手軽にとるためには、アイス、プリン、キャラメルといった高カロリーなデザートを添えても良いと思います。
次回も、ご自宅でできる嚥下食の工夫をご紹介します。
お楽しみに!
<続く>
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認知症の予防方法(3)

前回から引き続き認知症予防の方法についてご紹介します!
今回は、
・生活習慣病の改善
・社会との交流
についてご説明させて頂きます。
◆生活習慣病の改善
高血圧、糖尿病といった生活習慣病は、認知症のリスクになることが知られています。
また、これらを悪化させる要因である喫煙や肥満も、やはり認知症のリスクとなります。
ある研究では、アルツハイマー型認知症の最大約50%が、これら4つのリスクに加えて、運動不足などの3つを足した計7つのリスクのせいで起こっている、という結果が出ています。
(少し難しい話ですが、これら7つのリスクが無くなれば、個人がアルツハイマー型認知症になる確率が半分になるわけではありませんのでご注意ください。)
分かりにくいかも知れませんが、要するに高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病は、認知症のリスクとなります。
生活習慣病をお持ちの方は、認知症のリスクを減らすためにも、しっかりと治療しましょう!
◆社会との交流
今は新型コロナウィルスの影響でなかなか難しいですが、行事やイベントに参加して、他の人たちとお話をしたり交流をすることは、認知症の予防につながります。
軽度認知障害(認知症の前段階。略してMCIといいます)の方たち816名を3年間追いかけ、どんな方が認知症に進んだかを調べた研究があります。
この研究では、家族の行事、友人宅への訪問、同好会、外食、教会への礼拝などへの参加状況について調べています。
その結果、行事やイベントに参加する種類と頻度が多い方たちでは、認知症に進む割合が低かったという結果でした。
年齢を重ねると、仕事を退職したり外出の機会が減ったりと、どうしても外との交流がへってしまいがちです。
しかし、そのまま自宅に閉じこもってしまうことで認知症になりやすくなってしまうかも知れません。
自分の興味があることや好きなことを見つけて、積極的に外に出ていくことで、気分も明るくなり、元気に過ごし続けられると思います。
以上、3回にわたり認知症の予防方法についてお話させて頂きました。
いかがでしたでしょうか。
意外と、「簡単でよく効く方法はないな…」と思われたのではないでしょうか?
例えば、「飲むだけで認知症が予防できる!」とか。
確かにそんな方法があったらいいですよね!
しかし、そのような薬やサプリが開発されるのはまだまだ先のようです。
まずは、小さいながらちゃんと効果があることを地道に積み重ねていくことが大切だと思います。
とりあえず何か一つ、始めてみませんか?
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
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