【みんなどうしてる?】嚥下食の作り方(2)
前回に引き続き、ご自宅での嚥下食をご紹介します!
◆既製品を使う
・レトルトパウチ
嚥下食の準備が大変な時は、市販のレトルトパウチを活用するのが手です。
種類もたくさん出ています。
スーパー、ドラッグストアで売っています。
・お餅の嚥下食
お餅は、飲み込みの力が落ちた時に危険な食べ物の代表です。
しかし、お餅は大好きな人も多いですよね。
そんな方でも食べられるお餅があります。
もちろん、食感まで全く同じとはいきませんが、少しでもお餅の気分が味わえるのではないでしょうか。
・吉野家の牛丼
「安い、早い、うまい」牛丼でおなじみの吉野家さんは、嚥下食にした牛丼も販売しているそうです。
残念ながらうなぎは現在販売されていないようでした…
たまには贅沢に気分を変えて牛丼もいかがでしょうか!
次回も、ご自宅でできる嚥下食の工夫をご紹介します。
お楽しみに!
<続く>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
【みんなどうしてる?】嚥下食の作り方(1)
食事は生きていくのに必須であると共に、生活の楽しみでもありますよね。
ただ、ご年齢を重ねたり、ご病気をお持ちだったりすると、どうしても飲み込みの力(嚥下機能と言います)が衰えてしまいます。
その結果、食べ物をむせやすくなってしまい、ちっ息や誤嚥性肺炎を起こす原因となります。
そのため、まずは飲み込みの力を保つことがとても重要です
それでも飲み込みの力が落ちてしまった時には、食べ物を食べやすくするように工夫することで食べ物が安全に食べられます。
これを「嚥下食」といいます。
とはいえ、食事は毎日のことですから、嚥下食を準備するのも大変なことですよね。
そこで、ご自宅でできる少しでも手軽に嚥下食が準備できる方法を複数回にわけてご紹介したいと思います。
■作りおきして冷凍しておく
お母様をご自宅で介護されていたCare Livingさん。
丁寧に嚥下食を作られており、一見手間がかかりそうですが、一度にたくさん作っておいて冷凍するというのは効率的で良いですね。
あとは、食べるときに牛乳でのばすというのも、味がクリーミーになるだけでなく、エネルギーやタンパク質も取れて良さそうです。
さらに、野菜に含まれているビタミン類の吸収も良くなります。
飲み込みの力が落ちている方にとっては、エネルギーやタンパク質は、飲み込みの力を維持・回復させるためにも大切な栄養素です。
卵を混ぜたりするのも良いでしょう。
エネルギーを手軽にとるためには、アイス、プリン、キャラメルといった高カロリーなデザートを添えても良いと思います。
次回も、ご自宅でできる嚥下食の工夫をご紹介します。
お楽しみに!
<続く>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
認知症の予防方法(3)
前回から引き続き認知症予防の方法についてご紹介します!
今回は、
・生活習慣病の改善
・社会との交流
についてご説明させて頂きます。
◆生活習慣病の改善
高血圧、糖尿病といった生活習慣病は、認知症のリスクになることが知られています。
また、これらを悪化させる要因である喫煙や肥満も、やはり認知症のリスクとなります。
ある研究では、アルツハイマー型認知症の最大約50%が、これら4つのリスクに加えて、運動不足などの3つを足した計7つのリスクのせいで起こっている、という結果が出ています。
(少し難しい話ですが、これら7つのリスクが無くなれば、個人がアルツハイマー型認知症になる確率が半分になるわけではありませんのでご注意ください。)
分かりにくいかも知れませんが、要するに高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病は、認知症のリスクとなります。
生活習慣病をお持ちの方は、認知症のリスクを減らすためにも、しっかりと治療しましょう!
◆社会との交流
今は新型コロナウィルスの影響でなかなか難しいですが、行事やイベントに参加して、他の人たちとお話をしたり交流をすることは、認知症の予防につながります。
軽度認知障害(認知症の前段階。略してMCIといいます)の方たち816名を3年間追いかけ、どんな方が認知症に進んだかを調べた研究があります。
この研究では、家族の行事、友人宅への訪問、同好会、外食、教会への礼拝などへの参加状況について調べています。
その結果、行事やイベントに参加する種類と頻度が多い方たちでは、認知症に進む割合が低かったという結果でした。
年齢を重ねると、仕事を退職したり外出の機会が減ったりと、どうしても外との交流がへってしまいがちです。
しかし、そのまま自宅に閉じこもってしまうことで認知症になりやすくなってしまうかも知れません。
自分の興味があることや好きなことを見つけて、積極的に外に出ていくことで、気分も明るくなり、元気に過ごし続けられると思います。
以上、3回にわたり認知症の予防方法についてお話させて頂きました。
いかがでしたでしょうか。
意外と、「簡単でよく効く方法はないな…」と思われたのではないでしょうか?
例えば、「飲むだけで認知症が予防できる!」とか。
確かにそんな方法があったらいいですよね!
しかし、そのような薬やサプリが開発されるのはまだまだ先のようです。
まずは、小さいながらちゃんと効果があることを地道に積み重ねていくことが大切だと思います。
とりあえず何か一つ、始めてみませんか?
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
認知症の予防方法(2)
今回は、認知機能トレーニングの効果についてご紹介します。
前回、今のところ研究でしっかりと効果が示されているのは以下の3つであることをお伝えしました。
・運動
・認知機能トレーニング
・生活習慣病の改善
・社会との交流
認知機能トレーニングにどのような効果が証明されているのかを今回ご説明します。
◆認知機能トレーニング
認知機能トレーニングとは、いわゆる「脳トレ」で、頭を使うトレーニングです。
このトレーニングの効果については大小様々な研究がありますが、一番規模の大きい研究をご紹介します。
この研究では、認知症になっていない高齢者2,832名を対象に、
①推論トレーニング
…一定のパターンを読み取って問題を解くゲーム(例:数字の配列から次の数字を予測する)
②記憶トレーニング
…たくさんあるものを効率よく記憶するゲーム
③処理速度トレーニング
…短い時間に課題をクリアする、タイムトライアル的なゲーム
の3種類のトレーニングを受けてもらい、その効果を調べました。
その結果、10年後にはトレーニングをしていない人たちと比べて、トレーニングを受けた人たちの方が、より自立力が高い(=自分の力で生活を送る能力が高い)という結果でした。
残念ながらトレーニングを受けた人たち、受けていない人たちともに10年間で自立力は低下してしまっていますが、トレーニングを受けた人たちの方が低下はゆるやかでした。
特に、③の処理速度トレーニングを受けた人たちでの効果が一番高く、このトレーニングを受けた人たちは、何もトレーニングを受けていない人たちと比べて、約1.5倍、自立力が高いという結果でした。
この結果だけで「脳トレは認知症を予防します!」とまでは強く言えませんが、少なくとも自立した生活を送るうえで良い効果が期待できると思います。
市販されているものでは、例えば、
①の推論トレーニングは、クロスワードパズルや数独が該当します。
また、②の記憶トレーニング、③の処理速度トレーニングは、任天堂スイッチのゲームである「脳トレ」(任天堂ホームページへ)
の中にも含まれています。
元気で暮らし続けるためにも、少しずつ毎日の習慣にしてみてはいかがでしょうか。
次回も引き続き認知症予防についてご紹介します!
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
認知症の予防方法(1)
これから高齢化が進むにつれて、認知症をお持ちの方は増えてくると予想されています。
2025年には5人に1人が認知症を持つという内閣府の推計もあります。
このように認知症は、もはや誰がなってもおかしくない病気となりました。
しかし、残念ながらまだ有効な治療薬がないのが現状です(2022年1月時点)。
そうなってくると、誰もが日頃から予防を心がけることが大切です。
今回は、科学的に効果が証明されている認知症の予防方法を、複数回にわたってお伝えしたいと思います。
◆認知症の予防
今のところ、研究でしっかりと効果が示されているのは以下の3つです。
・運動
・認知機能トレーニング
・生活習慣病の改善
・社会との交流
「え?これだけ?」と思われたかも知れません。
もう少し細かく見ていきましょう。
◆運動
有酸素運動(ウォーキング、自転車など長く続ける運動)が認知症を予防するという研究結果が出ています。
認知症まではいかないものの、認知機能が通常より低下している状態を、認知症の前段階としてMCI(軽度認知障害の略)と呼びます。
そしてMCIの状態の方の一部が認知症に進んでしまうことが分かっています。
このMCIの人たちに、有酸素運動を定期的にしてもらうと、運動をしていない人たちに比べて認知機能が改善するという、複数の研究結果があります(参考文献)。
劇的な効果とまではいきませんが、定期的な有酸素運動は体力の低下も防ぎますし、オススメです。
なお残念ながら、認知症を発症してしまった後では認知機能の改善効果は認められていませんが、適度な運動自体は良いことです。
認知症をお持ちの方でも、可能な範囲で積極的に運動されると良いと思います。
どれくらい運動するとよいのかまでは分かっていませんが、週に150時間(30分を週5日)あたりが目安です。
もちろん、「そんなにできない!」という方はもっと少なくても大丈夫です。
(持病が不安な方は、一度かかりつけの先生に相談してみましょう。 )
まずは始めてみて、少しずつでも長く続けることが大切だと思います。
次回は認知機能トレーニングについてご紹介します。
お楽しみに!
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。
「胃ろう」ってどんなもの?
皆さんは、「胃ろう」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
また、聞いたことがある方は、胃ろうにどんなイメージをお持ちでしょうか?
近年は胃ろうに対して良くないイメージをお持ちの方も増えているように感じます。
今回は、「胃ろうってどんなもの?」「実際やった方がいい?だめ?」といった疑問にお答えしたいと思います。
<目次>
◆胃ろうってなに?
◆どうやって穴を開けるの?
◆何のためにやるの?
◆どんなメリットがある?デメリットは?
◆胃ろうは悪いこと?点滴の方がいい?
◆ご本人にとって何が大切か
◆胃ろうってなに?
まず、そもそも胃ろうとは何でしょうか。
胃ろうというのは簡単に言うと、お腹から胃に穴を開けて管を通し、口からでなく管を通じて外から胃へ、直接栄養剤を注入する方法です。
管は柔らかいプラスチックで出来ています。胃の中に入れてから水風船を膨らませて、抜けないようにします。
また、胃ろうは必要がなくなれば外すことができます。その場合、穴もふさがります。
◆どうやって穴を開けるの?
「お腹に穴を開ける」というと、とても怖い感じがしますよね。
大丈夫!?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は胃というのはみぞおちのすぐ裏にあるので、外から簡単に穴を開けられるのです(胃の場所によってはできない方もいます)。
しかも実際の穴は直径10㎜未満で、大きい穴ではありません。
大がかりな手術が必要なわけではなく、胃カメラを使って30分ほどでできます。
しかし、全く安全とも言えず、出血したり腹膜炎(お腹の中にバイ菌が入る病気)を起こして残念ながら亡くなる方が約1%ほどおられます。
◆何のためにやるの?
一言で言えば、口から食事を食べられない場合に、生きていくのに必要な栄養(カロリー、タンパク質、ビタミンなど)を摂るためです。
私たちは、ふつうに口から食事を摂って栄養にして生きています。
しかし、様々な理由で口から食事を摂ることができなくなってしまう場合があります。
例えば、飲み込みの力が弱ってしまった時です。
普段はあまり意識していないと思いますが、食べ物を飲み込むためには、のどの筋肉がきちんと正確に動く必要があります。
そうしないと、食べ物が肺に入ってしまい、窒息や誤嚥性肺炎の原因となります。
しかし脳の病気によるマヒなどで、のどの筋肉が動かなくなってしまうことがあります。
重度の場合には、口から食べ物を食べることが一切できなくなってしまうのです。
あとは、がんで胃や食道が詰まってしまう場合もあります。
胃ろうはもともと、そのような方たちが生きていけるように開発されたのです。
◆どんなメリットがある?デメリットは?
・メリット
口から食事が摂れなくとも栄養不足を防ぐことができ、寿命を延ばせる可能性があります。
また、栄養が十分摂れることで、じょくそう(床ずれ)を防げる可能性があります。
・デメリット
一番は、胃ろうの効果についてまだよく分かっていないことが多い、という点です。
実はこれまでの研究では、胃ろうによって寿命や生活の質が改善する、というデータは少ないのです。
これはあくまで平均的な結果なので、一概に全員に効果がないということではありませんが、「効果がある人もいるが、ない人も多いかも知れない」ということです。
あとは、先ほどもありましたが、胃ろうを作る際に1%の方が亡くなる可能性があります。
また、実は胃ろうを作った後も誤嚥は残ります(唾液や胃からの逆流物を誤嚥します)。そのため痰が増え、定期的に痰を取る処置が必要になる方もいます。
栄養剤を使用することにより、副作用で下痢する方もおられます。
◆胃ろうは悪いこと?点滴の方がいい?
このようなメリット、デメリットがある胃ろうですが、実際やった方がいいのでしょうか。
実は、胃ろうの良し悪しを判断することは非常に難しいのです。
なぜなら、胃ろうを始めた後の経過が人によって全然違うからです。
例えば、脳梗塞によるマヒで口から食事が食べられない人が、胃ろうをしながら栄養を摂りつつリハビリを頑張り、また口から食べられるようになって胃ろうを外せた、という人もいます。
このような場合は胃ろうをやってとてもよかったと思います。
一方で、認知症が進んでしまい意識がなくて食べられないような場合には、意識がないまま胃ろうから栄養を続けられることが苦痛に思う方もいらっしゃるかも知れません。
このような場合には、いわゆる「延命治療」に該当する可能性があります。
私自身は、延命治療が必ずしも悪いことだとは思っていません。
なぜなら、お別れまでにある程度の準備期間が必要な場合もあるからです。
延命治療を選択して後悔されたご家族もいらっしゃれば、延命治療を選択せずに、ご家族の心の準備ができる前にお別れになってしまったケースもありました。
このように、胃ろうをすべきかどうかには正解がなく、その人ごとにベストな方法を考えていかなければなりません。
大切なことは、「これからどんな経過をたどっていくのか」という鮮明なイメージを、ご本人、ご家族、関係者が共有し、それぞれの思いを話し合うことだと思っています。
また、「胃ろうは延命治療だから良くないと聞いた。点滴の栄養をやってほしい。」というお話を伺うことがよくあります。
確かに栄養剤を点滴する方法(中心静脈栄養といいます)もありますし、点滴の方が良い場合もあります。
ただ、点滴での栄養であっても、回復の見込みがない方にする場合には延命治療になり得ます。
また、点滴の栄養でもデメリットがあります。
一つは、点滴のところからバイ菌が入り、感染を起こす危険があること、もう一つは、点滴に時間がかかるため、1日のうちほとんどが管につながった状態になってしまうことです。
ちなみに現代の医療常識では、胃腸に問題がなければ、まずは胃ろうなどの胃腸からの栄養剤から始めることとされています。
このように、「胃ろうがダメで点滴は良い」ということではなく、「口から食べられない時に外から栄養を入れるかどうか」が問題なのです。
◆ご本人にとって何が大切か
今までお話したように、口から食べられなくなった時にどうするかを決めるのは正しい答えがなく、とても難しいことです。
一つの目安は、「今後回復する見込みがどれくらいあるのか」です。回復する見込みが高いのであれば、積極的にやってもよいのかなと思います。
これについては、主治医の先生方に聞いてみるのが一番です。
難しいのは、「回復する見込みがない」時です。
延命治療がすべて悪いわけではありませんが、場合によってはご本人が望まない延命治療につながる可能性があります。
大切なことは、ご本人が何を望んでいるか、何を大切にしたいかと考えることなのだな、と日々感じます。
栄養を摂るということは、命に直結します。
ご本人、ご家族、そのほかの関係者みんなで話し合って、納得できる最善の方法を選択するしかないと思います。
<終>
今の介護度がどれくらいなのか、おおよそのシミュレーションが可能です。
お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。
ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。