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care-eco's magazine

2023/03/01

最近、耳が遠くなったかも!?難聴の対応

「最近、TVの音が聞こえにくくなった気がする」

「会話が聞き取れず聞き返すことが増えた」


そんなご様子があったら難聴に悩まされている可能性があります。


難聴はよくあることで、ある研究によれば65歳以上の43%が難聴に悩まされている、というデータもあります。

今回は、在宅療養でもよく見られる難聴についてお話ししたいと思います。


◆難聴とは?

難聴とは、「聴力が低下すること」、つまり小さい音が聞こえなくなってしまう状態のことです。


では、小さい音とはどれくらいかといいますと、WHO (世界保健機構)の基準では25デシベル以下の音が聞こえなくなると難聴とされています。


25デシベルの目安としては、

・鉛筆の筆記音

・ささやき声

・秒針の音

などが該当します。

けっこう小さい音ですよね。


◆難聴の原因

大人の難聴でもっとも多い原因は、加齢によるものです。

これを「老人性難聴」といいます。


ただ、高齢になっても全員がなるわけではありません。

老人性難聴になりやすくなる因子というのもいくつかあります。


例えば、日常的に大きい音に囲まれていることもそうですし、高血圧や糖尿病、喫煙といった生活習慣もリスクとなります。


老人性以外の難聴の原因はさまざまです。


大きく分けると、

・耳の穴の問題…耳垢、腫瘍など

・鼓膜の問題…鼓膜が破れる、中耳炎など

・音を感じる神経の問題…脳梗塞、神経の病気など

の3つに分かれます。


◆こんな難聴には注意

「年のせい」と思っていても、思わぬ病気が隠れいていることがあります。


老人性難聴の特徴は、数年かけてだんだんと進むことです。


・急に出現した難聴

・週・日の単位で悪くなる難聴

・めまいや痛み、耳鳴りなどを伴う難聴

では、別の病気を考えた方がよさそうです。


具体的には、中耳炎(耳の中の感染)や脳梗塞(頭の血管が詰まる)といった病気です。

なので、このような場合には一度医療機関への相談をおすすめします。


◆難聴はほっといて大丈夫?

老人性難聴を放っておくと、人と話すことが苦手になってしまい、それにより引きこもり、うつ病、孤立につながる可能性があります。


さらに、老人性難聴によって孤立してしまうことで刺激が減り、認知症のきっかけとなる可能性があるという研究が増えてきています。


◆難聴は治せる?

難聴をもっているご高齢の方は多いですが、多くの方は「年だからしょうがない」と諦めているのではないでしょうか。


確かに、実際には難聴を治せる、つまり聴力をもとに戻せる治療はまだありません。


しかし、低下した聴力を補助する方法はあり、これらの方法により生活の質や認知機能が悪くなることを防げるかもしれません。


代表的な方法は以下の2つです。

・補聴器

・人工内耳


補聴器はご存知の方が多いかと思いますが、イヤホンのような機械を耳にかけ、音を大きくするというものです。


人工内耳とは、衰えた耳の代わりに機械を埋め込み、音を電気信号にして脳に伝えるというものです。

ただ、手術が必要であり、補聴器でも改善しない難聴の方が対象となります。


◆補聴器で逆に耳が悪くなりませんか?

補聴器は、適切に使用された場合、難聴を改善することができます。

正しい補聴器の選択と適切な調整により、聞こえにくい音を大きくし、より明瞭に聞き取ることができます。


ただし、不適切な補聴器を使用する、または適切な調整を受けていない場合、難聴が悪化する可能性があります。


なので、補聴器を検討するにあたっては、専門家に相談し、正しく選択して、適切に使用することが重要です。

最近では、専門家がいる補聴器のお店も増えてきたように思います。

気になる方は一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。


以上、難聴についてお話しさせていただきました。

たかが難聴、されど難聴です。

ついつい放ってしまいがちですが、補聴器を上手に使うことで、よりよい人生を送ることができればよいのではないでしょうか。


<終>


お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。

ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。


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書いた人:
安間 章裕(アンマ アキヒロ)
日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医
2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。
2022年にえん在宅医療クリニックを開業。