2021/08/02
初めての介護5ステップ!
「親が急に倒れた」「なんだか最近もの忘れが多いみたい…」
これからご家族の介護が気になってきますよね。
介護は急にやってきます。
ですがそんな時、「何をどうしたらいいのかわからない!」という方が多いと思います。
ここでは、いざ介護が始まる時にスムーズにいくよう、介護をはじめる際のおおまかな流れをご説明します。
Step 1. こんなサインに注意しよう
そもそも介護が必要になるのはどんな状況なのでしょうか。
ざっくり言ってしまうと、「日常生活を送るのになんらかのサポートが必要になること」です。
一般的には、大きくは、①体の衰え、②認知機能の衰えの二つです。
注意しなくてはならないのは、一見今まで通りの生活が送れているように見えても、実は衰えが進んでいて、気が付いた時には手遅れになっているということもあります。
そうならないためには周囲の人が早めからサインに気づき、対処していくことが大切です。
具体的には以下のサインがないか気を配りましょう。
①体が衰えてきた
片足立ちで靴下がはけない
何もないところで転んだ
つまずくことが増えた
15分続けて歩くことができない
階段を上るのに手すりが必要
②認知機能が衰えてきた
料理をしなくなってきた
同じことを何回も聞くようになってきた
日付や年をよく間違える
慣れた道で迷う
お金の計算ができなくなってきた
怒りっぽくなった
これらの様子が一つでも当てはまるようでしたら、介護に向けて備えを始めるのが良いと思います。
Step 2. 地域包括支援センターまたは役所担当課へ相談する
では、介護への備えとは具体的にどうしたら良いのでしょうか。
一つは何らかの介護サービスを生活に取り入れていくことです。
そのために、まずはお近くの地域包括支援センターまたは役所担当課(例:高齢福祉課、高齢介護課、介護保険課など)へ一度ご相談頂くことをお勧めします。
そこでは、
①今の時点でしっかりと手助けが必要そう
②今は自分の力でなんとか生活できているが、サポートがあった方がよい
③今は問題なく生活しているがこれから不安
の3パターンで対応が変わってきます。
①「今の時点でしっかりと手助けが必要そう」な方
すでにお一人では身の回りのことをするのが難しい方は、介護保険を利用して少ない自己負担額(1~3割)で介護サービス(デイサービス、訪問介護、訪問看護など)を使うことができます。
この状態では、通常「要介護状態」と言って、使える介護サービスの量も多いことが予想されます。
この状態になると、ケアマネジャー(介護支援専門員)が担当につき、必要なサービスを調整してくれます。
ちなみに介護保険を使える方は、
・65歳以上で介護認定を受けた方
・40~64歳で特定疾病のために介護が必要な方
となります。
②「今は自分の力でなんとか生活できているが、サポートがあった方がよい」方
例えば、「今は一人暮らししているが、お買い物が難しい」「足腰が弱って転倒が心配」といった方が該当します。
介護保険が使える場合が多いですが、「要支援」といって「要介護」より軽い状態になります。
この状態では要介護より使えるサービスが限られますので、必要に応じて上手に選ぶことが大切です。
この状態ではケアマネジャーではなく、地域包括支援センターのスタッフが担当となってサービスの調整を行います。
③「今は問題なく生活しているがこれから不安」な方
身の回りのことは問題なくできていますが、足腰が弱ってきている様子があったり、軽く認知症の不安があったりするような方です。
現時点では介護保険は使えない可能性が高いですが、今後悪くならないための予防が非常に大切な段階です。
このチェックリストの項目に当てはまる場合には、「介護予防・日常生活支援総合事業」という制度が使えます。
(出典:平成22年8月6日厚生労働省老健局長通知「地域支援事業の実施について」)
この制度により、通いや訪問のリハビリができたり、訪問介護(ヘルパー)のサービスが利用できたりします。
制度のご利用は地域包括支援センターが窓口になっています。
そのほか、地域の集まりなど積極的に外にでることが介護の予防にとって大切です。
Step 3. 介護保険申請
介護保険の対象になりそうな方は、まず申請が必要です。
申請は、地域包括支援センターもしくは役所担当課でできます。
以下が手順になります。
①必要な書類をそろえる
必要なもの
・申請書(窓口でもらえます。)
・医療・介護保険の保険証
・主治医意見書(かかりつけ医の意見書が必要になります。用紙は窓口でもらえます。)
②認定調査を受ける
調査員がご自宅に訪問し、介護を受けるご本人様の様子を見ます。
③審査結果を待つ
地域によりますが、認定結果が出るまで1~2か月かかる場合もあります。
余裕を持って申請するようにしましょう。
Step 4. 介護サービスを使う
介護保険で「要支援」もしくは「要介護」の認定がなされた方は介護保険のサービスを使うことができます。
介護保険サービスを利用するには、まずケアマネジャーにケアプランを作ってもらう必要があります。一度担当のケアマネさんにご相談してみましょう。
「そもそもケアマネさんに何を聞いたらいいかが分からない!」という方は、ケアエコの医師相談、掲示板へお気軽にご相談ください。
また、ケアマネさんと相談済みの方でも、セカンドオピニオンとしてご利用頂けます。
Step 5. サービスを見直す
介護を受ける方やご家族の状況は刻々と変化していきますし、状況によって必要なサービスも変わってきます。
そのため、一度サービスを受け始めた後も、そのままでいいのか、注意することはないかなど、定期的に見直すことが大切です。
不安なことがあれば、ケアマネさんや主治医の先生、ケアエコにお気軽に相談してみてください。
在宅医療・介護のお悩み解決プラットフォーム
これからの介護がご不安な方に
安間 章裕(アンマ アキヒロ)
日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医
2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。