在宅お役立ち情報

care-eco's magazine

2021/12/25

「胃ろう」ってどんなもの?

皆さんは、「胃ろう」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 

また、聞いたことがある方は、胃ろうにどんなイメージをお持ちでしょうか?


近年は胃ろうに対して良くないイメージをお持ちの方も増えているように感じます。

今回は、「胃ろうってどんなもの?」「実際やった方がいい?だめ?」といった疑問にお答えしたいと思います。


<目次>

◆胃ろうってなに?

◆どうやって穴を開けるの?

◆何のためにやるの?

◆どんなメリットがある?デメリットは?

◆胃ろうは悪いこと?点滴の方がいい?

◆ご本人にとって何が大切か


◆胃ろうってなに?

まず、そもそも胃ろうとは何でしょうか。

胃ろうというのは簡単に言うと、お腹から胃に穴を開けて管を通し、口からでなく管を通じて外から胃へ、直接栄養剤を注入する方法です。

管は柔らかいプラスチックで出来ています。胃の中に入れてから水風船を膨らませて、抜けないようにします。


写真:胃ろうチューブの例


また、胃ろうは必要がなくなれば外すことができます。その場合、穴もふさがります。


◆どうやって穴を開けるの?

「お腹に穴を開ける」というと、とても怖い感じがしますよね。


大丈夫!?と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、実は胃というのはみぞおちのすぐ裏にあるので、外から簡単に穴を開けられるのです(胃の場所によってはできない方もいます)。

しかも実際の穴は直径10㎜未満で、大きい穴ではありません。

大がかりな手術が必要なわけではなく、胃カメラを使って30分ほどでできます。


しかし、全く安全とも言えず、出血したり腹膜炎(お腹の中にバイ菌が入る病気)を起こして残念ながら亡くなる方が約1%ほどおられます。


◆何のためにやるの?

一言で言えば、口から食事を食べられない場合に、生きていくのに必要な栄養(カロリー、タンパク質、ビタミンなど)を摂るためです。


私たちは、ふつうに口から食事を摂って栄養にして生きています。

しかし、様々な理由で口から食事を摂ることができなくなってしまう場合があります。


例えば、飲み込みの力が弱ってしまった時です。

普段はあまり意識していないと思いますが、食べ物を飲み込むためには、のどの筋肉がきちんと正確に動く必要があります。

そうしないと、食べ物が肺に入ってしまい、窒息や誤嚥性肺炎の原因となります。


しかし脳の病気によるマヒなどで、のどの筋肉が動かなくなってしまうことがあります。

重度の場合には、口から食べ物を食べることが一切できなくなってしまうのです。

あとは、がんで胃や食道が詰まってしまう場合もあります。


胃ろうはもともと、そのような方たちが生きていけるように開発されたのです。


◆どんなメリットがある?デメリットは?

・メリット

口から食事が摂れなくとも栄養不足を防ぐことができ、寿命を延ばせる可能性があります。

また、栄養が十分摂れることで、じょくそう(床ずれ)を防げる可能性があります。


参考記事:褥瘡(床ずれ)の効果的な予防方法


・デメリット

一番は、胃ろうの効果についてまだよく分かっていないことが多い、という点です。

実はこれまでの研究では、胃ろうによって寿命や生活の質が改善する、というデータは少ないのです。

これはあくまで平均的な結果なので、一概に全員に効果がないということではありませんが、「効果がある人もいるが、ない人も多いかも知れない」ということです。


あとは、先ほどもありましたが、胃ろうを作る際に1%の方が亡くなる可能性があります。


また、実は胃ろうを作った後も誤嚥は残ります(唾液や胃からの逆流物を誤嚥します)。そのため痰が増え、定期的に痰を取る処置が必要になる方もいます。

栄養剤を使用することにより、副作用で下痢する方もおられます。


◆胃ろうは悪いこと?点滴の方がいい?

このようなメリット、デメリットがある胃ろうですが、実際やった方がいいのでしょうか。


実は、胃ろうの良し悪しを判断することは非常に難しいのです。

なぜなら、胃ろうを始めた後の経過が人によって全然違うからです。


例えば、脳梗塞によるマヒで口から食事が食べられない人が、胃ろうをしながら栄養を摂りつつリハビリを頑張り、また口から食べられるようになって胃ろうを外せた、という人もいます。

このような場合は胃ろうをやってとてもよかったと思います。


一方で、認知症が進んでしまい意識がなくて食べられないような場合には、意識がないまま胃ろうから栄養を続けられることが苦痛に思う方もいらっしゃるかも知れません。


このような場合には、いわゆる「延命治療」に該当する可能性があります。


参考記事:延命治療、する?しない?


私自身は、延命治療が必ずしも悪いことだとは思っていません。

なぜなら、お別れまでにある程度の準備期間が必要な場合もあるからです。

延命治療を選択して後悔されたご家族もいらっしゃれば、延命治療を選択せずに、ご家族の心の準備ができる前にお別れになってしまったケースもありました。


このように、胃ろうをすべきかどうかには正解がなく、その人ごとにベストな方法を考えていかなければなりません。

大切なことは、「これからどんな経過をたどっていくのか」という鮮明なイメージを、ご本人、ご家族、関係者が共有し、それぞれの思いを話し合うことだと思っています。


また、「胃ろうは延命治療だから良くないと聞いた。点滴の栄養をやってほしい。」というお話を伺うことがよくあります。

確かに栄養剤を点滴する方法(中心静脈栄養といいます)もありますし、点滴の方が良い場合もあります。

ただ、点滴での栄養であっても、回復の見込みがない方にする場合には延命治療になり得ます。


また、点滴の栄養でもデメリットがあります。

一つは、点滴のところからバイ菌が入り、感染を起こす危険があること、もう一つは、点滴に時間がかかるため、1日のうちほとんどが管につながった状態になってしまうことです。

ちなみに現代の医療常識では、胃腸に問題がなければ、まずは胃ろうなどの胃腸からの栄養剤から始めることとされています。


このように、「胃ろうがダメで点滴は良い」ということではなく、「口から食べられない時に外から栄養を入れるかどうか」が問題なのです。


◆ご本人にとって何が大切か

今までお話したように、口から食べられなくなった時にどうするかを決めるのは正しい答えがなく、とても難しいことです。


一つの目安は、「今後回復する見込みがどれくらいあるのか」です。回復する見込みが高いのであれば、積極的にやってもよいのかなと思います。

これについては、主治医の先生方に聞いてみるのが一番です。


難しいのは、「回復する見込みがない」時です。

延命治療がすべて悪いわけではありませんが、場合によってはご本人が望まない延命治療につながる可能性があります。


大切なことは、ご本人が何を望んでいるか、何を大切にしたいかと考えることなのだな、と日々感じます。


栄養を摂るということは、命に直結します。

ご本人、ご家族、そのほかの関係者みんなで話し合って、納得できる最善の方法を選択するしかないと思います。

<終>


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これからの介護がご不安な方に

安間 章裕(アンマ アキヒロ)
日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医
2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。
2021/12/17

【みんなどうしてる?】在宅介護のトイレ対策

在宅介護において、もっとも辛いことの一つが排泄に関するトラブルだと思います。

特に夜間の頻回なトイレは、身体的にはもちろん、精神的な負担は相当なものですよね。

今回は、twitterの投稿から、排泄トラブルの解決方法をピックアップしてみました。


◆頻尿に悩んだらまずは原因を考えてみましょう

頻尿は、原因によっては改善できる場合があります。

原因の一つに「足のむくみ」があります。足のむくみは、足に水分がたまっていることを表しています。その原因のほとんどは、静脈弁不全という、加齢に伴う変化です。


参考記事:「むくみ」はどうやって対処したらいいの?


そして、夜寝るときに横になると、足にたまった水分が体に戻っていきます。

その結果、体の水分が増えて尿となって出ていくのです。


そのため、むくみの対策をすることは、夜間頻尿の改善につながる可能性があります。


これは、日中に足をなるべく挙げておく(30分以上を1日3~4回)ことが有効です。

Care Livingさんもこれを試してみてうまくいったようです。



その他、頻尿に対しお薬が効く場合もあります。

一度かかりつけの先生に相談してみましょう。


◆トイレへの移動が大変

トイレへ移動する際のお手伝いや見守りが大変…というお悩みもよく聞かれます。


・移動手段

認知症のお母様を介護されているのりさんは、発想の転換で家に余っていたある家具を使って工夫されました。


・ポータブルトイレ+手すり

本格的に歩くのが厳しくなってきた時には、やはりポータブルトイレ+手すりの設置が王道のようです。

最近では、木目調であったり、ぱっと見はおしゃれなイスにしか見えないポータブルトイレも出てきています。


・押し入れをトイレに改造

ポータブルトイレはイヤ!という方もおられると思います。そこでなんと、押し入れをトイレにしてしまうという方法があります。

工事が必要なためお金はかかりますが、介護保険が適応されますので、1~3割の自己負担で済みます。

トイレが遠くて困っているという方は、一度ご検討されてみてはいかがでしょうか。


◆「臭い」が気になる

トイレ関係の臭いが気になるという方も多いのではないでしょうか。

臭い対策に関するいくつかの投稿をご紹介します。


・重曹

重症は、アルカリ性の性質を持つため酸性の汚れを効果的に落とすことができ、さらに消臭効果もあります。

Care Livingさんも効果を実感されたみたいですね。


・消臭剤

介護用の強力な消臭元が売られているそうです。確かにフィルムを外せば普通の消臭元と見分けはつかなそうですね。


・使い捨てパック

ポータブルトイレのバケツにかぶせて使えるタイプです。

処理が簡単にでき衛生的で、臭い対策にもなりそうです。


◆トイレの場所が分からない

認知症をお持ちの方では、トイレに間に合わずに失敗してしまうケースも多いですよね。

その原因は、尿意を感じにくくなり直前まで気付かないなど色々なことが考えられますが、「トイレの場所が分からずに間に合わない」という場合があります。


この場合、トイレのドアのデザインを変えることで解決できるかも知れません。

最近では、認知症の方にもフレンドリーなデザインが注目されています。

さすがにここまで派手にはしづらいですが、目立つ工夫をするだけでも変わりそうです。



いかがでしたでしょうか。

人が日々生活していく上では排泄は切っても切れない問題ですので、少しでもストレスなく過ごすことができればと思います。

皆さん色々な工夫をされていますが、ご参考になれば幸いです。


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安間 章裕(アンマ アキヒロ)
日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医
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2021/12/07

【お知らせ】介護シミュレーションが新しくなりました!

ご自宅で介護をするご家族にとっては、「これからどうなってしまうの!?」ということが一番気になるのではないでしょうか。


ケアエコでは、先行きが見えないご家族の不安を少しでも和らげられるように、これからの経過を予測する介護シミュレーションを作っています。


今回、この介護シミュレーションが新しくなりました。


変わった点は以下の3つです。


質問項目を増やし、より個別化した結果に

旧バージョンでは質問項目が5項目と少なく、ご利用者様の状況に合わせた細かい結果が出せませんでした。今回の新バージョンでは質問項目を18項目に増やし、より個別化した結果が出せるようになりました。


研究データに基づいて、より正確に

質問項目と結果については、およそ1万人を対象とした研究データに経験を加えて、独自にアルゴリズムを作成しました。


結果のコメントがより具体的になりました

旧バージョンでは「もっと介護する人にとって行動につながるアドバイスが欲しい」というご意見を頂き、今回は結果のコメントをより具体的、実践的な内容にしました。


「これからの介護が不安」という方はぜひ一度お試しください。


新しいシミュレーションはこちらからどうぞ!


また今後も継続して改善に努めて参ります。

皆さまのご意見をぜひお待ちしております。


参考文献:

平井 寛、近藤 克則、尾島 俊之、村田 千代栄:地域在住高齢者の要介護認定のリスク要因の検討, 日本公衆衛生雑誌 56(8):501-512, 2009.


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2021/11/14

【取材レポート】浜松市ふれあい交流センター青龍さんへ行ってきました!

皆さんは、「ふれあい交流センター」をご存じでしょうか?


ふれあい交流センターとは、浜松市内各地にある公共施設で、ご高齢の方の生きがいづくりや健康増進、さらには子育て支援まで幅広い目的を持った、地域交流のための場所です。


だれしも、介護をなるべく受けずにずっと自立して過ごしたい!と思っておられることでしょう。

近年の研究では、介護を受けずに自立した状態を維持するためには他者や社会との交流がとても大事であることが分かってきています。


実際に私自身も普段の診療で、積極的に外へ出ている方ほど元気な方が多いなと感じています。


そこで今回は、交流の場として地域の皆さんに広く愛されている、浜松市南区の「浜松市ふれあい交流センター青龍」さんをご紹介させて頂こうと思います。


◆浜松市ふれあい交流センター青龍ができた経緯

もともと平成15年に老人福祉センターとして開設されました。


しかし、近年はご高齢の方たちだけではなく、子育て世代の方たちのサポートもしたいとの想いで、2020年4月から「浜松市ふれあい交流センター青龍」と名称を変更し、子連れの方もご利用が可能になりました。


その目的としては、ご高齢の方と子供さん、親御さんとの交流も深まるように、という願いも込められているそうです。


◆利用できる方

・浜松市内にお住まいの60歳以上の方

・浜松市内にお住まいの中学生以下の方とその保護者さん

・これらの方を支援する活動に携わる方

がご利用になれます。


◆「ふれあい交流センター青龍」はこんなところ!

一言で言うと、ご高齢の方にぴったりの遊び場といった場所です。

一日中退屈せずに過ごせてしまいそうです。


まず、内部には様々な設備がそろっています。

入り口にはマッサージチェア完備♪

写真1


なんとビリヤード台もあります!

写真2


訪問した時間帯は空いていましたが、午後には囲碁や将棋を打ちにくる方でいっぱいになるそうです。

写真3


広くて清潔なキッチンでは料理教室が開催されます。

写真4


また、各種同好会活動も充実しています!

卓球クラブ

写真5


水彩画クラブ

写真6


合唱クラブ

写真7

もちろん皆さん感染対策にも気を配っておられます。


他にも、ヨガ、太極拳、麻雀、グランドゴルフなど、本当にたくさんの同好会があります。


ちびっこ&ママの遊び場にもなっています♪

写真8


また、ここには介護予防事業である「元気はつらつ教室」が併設されています。

ここでは、体力や健康に少し不安がある方を対象として、介護が必要にならないように、レクリエーションや体操の教室を開いています。

写真9


スポーツ活動や体操といった体を動かす時間だけでなく、カードゲームや手工芸といった頭や手を動かす時間もあります。

送迎、昼食、おやつつきです!

女性が多めですが、男性の方もぜひお待ちしております。


◆館長さんより地域の皆さんに一言

ここに来ることが皆さんの毎日の元気につながるような、ふれあいの場所を提供していきたいと思っています。

ぜひ、1日楽しく遊んで、次の日の活力にして頂ければと思います。

「楽しかった」といって帰ってもらうことがやりがいです!


以上、「ふれあい交流センター青龍」のご紹介でした。

来館されている方たちは皆さんお元気で、まさに生き生きとされていました。


ずっと元気で過ごしていけるように、ふれあい交流センターをご活用してみてはいかがでしょうか?


お問い合わせ:

浜松市ふれあい交流センター青龍 TEL 053-422-2161


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2021/10/15

在宅療養で役立つ!体調管理アプリ

在宅療養では、日々体調が変化していきます。 

日々の様子を記録することはとても大切です。


記録することで、


・変化に気付きやすくなる。

・かかりつけ医が治療方針を考える材料になる

・関わっているスタッフ(訪問看護やヘルパーなど)に日々の様子を把握してもらいやすくなる


といったメリットがあります。


しかし、よいことと分かっていても、毎日記録をつけるということはなかなか大変ですよね。


よくお見かけするのは、ノートや手帳に書き込むという方法です。

簡単ですぐできる方法ではありますが、短所としては、


・紙とペンが必要

・長い期間だとノートが溜まり保管が大変

・外出先での記録が難しい


といった点があります。


そこでオススメなのが、アプリを使った記録です。

健康に関するアプリは本当にたくさん出ていますが、特に在宅療養で使えるアプリをご紹介します。


◆血圧ノート

人気のある血圧記録のアプリです。


特徴:

・無料で使える

・カレンダーやグラフ、数値レポートなど多機能

・血圧だけでなく、体重や症状などの記録もできる


血圧だけでなく体調に関する様々なデータが記録できます。

血圧ノート:サンプル画像1 >


症状やメモ欄もあります。

血圧ノート:サンプル画像2 >


インストールはこちらから

App store >

Google Play >


◆体調メモ

血圧、脈拍、体温、体重といった基本的なデータが記録できます。

メモ機能もついており、生活の様子を記録することもできます。


特徴:

・無料で使える

・入力がカンタン

・twitterに自動で投稿する機能あり(投稿しないこともできます)



このように時系列で確認できます。

体調メモ:サンプル画像1 >


入力はダイヤル式で簡単です。

体調メモ:サンプル画像2 >


自動でグラフ化されて変化が見やすい。

体調メモ:サンプル画像3 >


インストールはこちらから

App store >


◆シンプル日記

シンプルな日記アプリです。自由度高く使えます。


特徴:

・無料で使える

・写真が貼れるため、床ずれや皮膚の異常を記録できる

・キーワードで検索できる


シンプルな入力画面です。

シンプル日記:サンプル画像 >


インストールはこちらから

App store >

Google Play >


以上、在宅療養での記録に使えそうなアプリをご紹介させて頂きました。

いかがでしたでしょうか。どれも無料ですので、まずは試しに使ってみることをおすすめします。

それぞれ特徴がありますので、ご自身に合った使いやすいアプリを選んで頂ければと思います。


<まとめ>

・在宅療養では、日々の体調の記録が大事

・記録にはアプリが使える

・「血圧ノート」は血圧だけでなく様々な記録ができ、多機能。

・「体調メモ」は入力がしやすく、グラフ化機能もある

・「シンプル日記」は自由に記載したい方や写真を貼りたい方におすすめ


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2021/09/26

「お看取り」とは?

「お看取り」と聞くと、皆さんはどんなイメージを抱くでしょうか。 

「縁起が悪い」と感じる方や、「そんなこと考えたくない!」という方もおられると思います。


大事な人がこの世を去るということは耐えられないほど悲しいことです。

私も大切な人が亡くなってしまったことを思い出すと、とても悲しい気持ちになります。


しかし、人間を含め、全ての生き物の命に限りがあることは避けられない事実です。

そしてその最期の時をどう迎えるかということは、その方の人生にとってとても大切なことではないでしょうか。


とはいえ、人生において看取りの経験をすることは少ないと思いますし、イメージがつかない方も多いことと思います。


私は、これまで医師として最先端の総合病院から介護施設、在宅医療まで、様々な場所で多くの方の最期に立ち会わせて頂きました。

私も「人の幸せな最期」というものを模索しているところですが、今までの経験を元に、看取りに対する一般的な心構えを述べさせて頂こうと思います。

◆「人が死ぬ」とはどういうことか

実は、医学的な「死亡」とは厳密に定義することが難しいのです。

というのは、心臓が止まっても、細胞レベルでは人はまだ生きているからです。

実際、死亡診断がなされた後も爪や髪は伸びます。


そこで、私たち医師は、一般的に以下の3つを確認すると、死亡診断をします(脳死の場合を除きます)。

・心拍(心臓の動き)の停止

・呼吸の停止

・脳の動き(対光反射)の消失

そして、人が亡くなるプロセスでは、即死を除いて、この3つが順番に進んでいきます。

この時間経過や順番は病気によりますが、


・脳の動きの消失(意識がなくなる)→呼吸が止まる→心臓が止まる


という順番で、1~2日で経過することが多いと思います。

◆人はどのように最期を迎えるのか

事故や心臓発作などの予期せぬ出来事を除けば、ここに至るまでにはおおよそすべての方が同じような経過をたどります。

それは、 


・まず、動けなくなり寝たきりになる

・そして、食べる量が減ってくる

・水分の量も減ってくる

・そのうち眠ることが増える

・尿の量が減ってくる

・最期が近くなると意識がなくなり反応しなくなる


という流れです。

参考:日本緩和医療学会「これからの過ごし方について」

このスピードは、がんであったり、老衰であったり、病気によって異なりますが、たどる流れは同じです。

そして、これは寿命が尽きた植物が枯れるように、自然な流れでもあります。

おそらく多くの方は「痛みや苦しみがない」最期を望まれるのではないかと思います。

しかし、残念ながら病気によっては最期に痛みや苦しみが伴ってしまう場合があります。

その場合は、苦痛をとりのぞくお薬がちゃんとありますので、ご安心いただければと思います。

◆まずは本人の意向を確認

やはり多くの方はずっと生きていたいと思っておられるのではないでしょうか。

しかし、どうせ死が避けられないのであれば、自分が望む最期を迎えたいという方も多いと思います。

それを叶えたい、叶えてあげたいと思うのであれば、まずはご本人がどう思っているのかを確認することが最初の一歩です。


大事なことは、ご本人の意思確認ができるうちにしておくことです。

とはいっても、いきなりこのような話はしづらいと思います。

例えば、有名人が亡くなったニュースや、近所の方が亡くなったりした時がよいきっかけかも知れません。

◆話し合っておかないといけないこと

それでは、具体的にはどんなことを話し合っておくべきなのでしょうか?


一番大切なことは、その方が「最期の時にどんなことを大切にしたいか?」を共有しておくことだと思います。

なぜなら、後に決めるべきことはすべて、これが原点となるからです。

なかなか難しいと思いますが、まずはその方が迎えたい最期のイメージを共有することから始めるとよいと思います。

例えば、どこで、どんな風に、だれと、どんな表情で、といったことです。

そして、そのように思うのはなぜか、まで話し合えるとより理解が深まります。

◆決めておいた方がよいこと

ご本人が意思表示できない状態になってしまった時、医療の現場では重大な決断をご家族にお願いすることがあります。

これはご家族にとっては大変なストレスになってしまいます。

ご本人が望む最期を叶えるためにも、ご家族が困らないためにも以下のことをあらかじめ決めておくとよいと思います。


1. 延命治療について

延命治療という言葉はよく聞くと思いますが、実は明確な定義はないのです。

一般的には、「回復が期待できない、つまり治療を尽くしても元には戻らない状態になった際に、命を生き永らえる方法を選択する」ことになるかと思います。

しかし、この選択はとてもむずかしく、悩ましいと感じます。


参考記事:延命治療する?しない?


実際は医療者などと相談の上、最終的に決めることになると思いますが、

「そのような状況になった時にどうしたいか、どうしてほしいか」をご本人から聞いておくだけでもかなり違うと思います。

2. 人工栄養(胃ろうなど)をするかどうか

これも延命治療と似ていますが、口から栄養をとれなくなった時にどういった方法を選択するかです。

先ほどのように、最期が近づくと自然に人は口から栄養をとることができなくなってきます。


そういった場合に、胃ろうや太い点滴(中心静脈カテーテル)から栄養を注入する方法があります。


このような方法を選択すると、食べない場合と比べて寿命を延ばすことができます。

しかし、一方でデメリットもあります。 


この選択には正解はなく、どちらを選ぶかは個人の価値観しだいです。

なので、人工栄養に対する考えもあらかじめ聞いておくとよいでしょう。

3. 財産の管理

これは医療・介護とは直接的に関係はないのですが、決めておいた方がいいことなのでご紹介します。


例えばご本人の意識が不明になってしまったり、認知症にかかってしまったりすると、お金が必要な時でも銀行の口座から引き出すことが難しくなります。


また口座はご本人が亡くなると凍結され、預金を引き出すことができなくなってしまいます。


このような時に備えて、後見人制度や資産承継信託といった仕組みがあります。


さらに、生命保険や疾病保険などの受け取りも申告しなければできません。


まずはご本人が持っている銀行の口座や、加入している保険を把握し、対応を決めておいた方が安心です。

◆自宅で看取るにはどうしたらいい?

ご自宅で最期を迎えたいとご希望される方も少なからずおられると思います。


実際にアンケートでも、そのように希望される方が多い結果でした。

出典:平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査 結果(確定版)


少し前までは病院で亡くなる方が多く、自宅でのお看取りはハードルが高いことでした。


しかし、近ごろでは制度も整ってきており、自宅で最期を迎えることは決して手の届かないことではなくなってきました。


一番のご不安は体調や容体が変化していくことではないでしょうか。


ご家族だけで見ていくのは難しく、専門スタッフの介入が必須となります。


具体的には、訪問診療や訪問看護という医療サービスです。

参考記事:在宅医療ってなに?外来との違いは?


最期が近い時期にはほぼ毎日ご自宅に来てくれますので、不安や心配事を伝えることができます。

<まとめ>

・望む最期を迎えるためには、まず本人の意向を確認する

・「延命治療について」「人工栄養について」「財産管理について」をあらかじめ決めておく

・訪問診療や訪問看護をうまく活用すれば自宅での看取りも可能


いかがでしたでしょうか。


「看取り」は考えたくないことですが、必ず来ることでもあります。

後悔がなるべく少なくなるよう、しっかりと向き合うべきことだと思います。


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