在宅お役立ち情報

care-eco's magazine

2021/08/26

在宅医療ってなに?外来との違いは?

皆さんは在宅医療と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか? 

最近では在宅医療をテーマにした本や映画も出てきていますよね。

がんの末期の方が自宅で過ごすために、医師が自宅に往診に来る、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかも知れません。

また、「今通っている診療所や病院の外来と何が違うの?」と思われる方もおられると思います。


在宅医療というのは、簡単に言いますと、


「病気をお持ちでも、なるべく入院せずに、ご自宅で過ごせるお手伝いをする仕組み」


です。


病院に入院すると、医師だけでなく看護師、薬剤師、リハビリスタッフなどたくさんの専門職が関わりますよね。

それと同じように、在宅医療でも色々な職種が力を合わせて成り立っています。


例えば、以下のような訪問サービスが関わります。


・訪問診療

・訪問看護

・訪問薬局

・訪問リハビリ


    また、外来との一番大きな違いは、やはりご自宅に訪問して実際に患者さんの生活を見て、それに合った対応ができることだと思います。

    在宅医療ではみんなが同じ光景を見ているので、共通意識ができやすく、力を合わせやすいのです。


    ◆こんな方には在宅医療をオススメします

    ・ご病気があるけどもご自宅で過ごしたい方

    ・通院に毎回大変な思いをされている方

    ・たくさんの医療機関や診療科にかかっている方


    ◆訪問診療について

    訪問診療は、外来に通う代わりに医師が定期的にご自宅や介護施設に伺い、診察や検査、おくすりの処方をするというサービスです。

    基本的には月2回の訪問で、通常の外来より頻度が多いため手厚く診療ができます。また、緊急時には予定外の訪問も行います。

    気になる費用ですが、イメージとしては個人宅では月37,000円、老人ホームなどの介護施設では月20,000円が基本でかかり(※条件により変動します)、緊急の訪問や処方で追加されます。

    もちろん医療保険が使えますので、この金額のうち1~3割が自己負担となります。

    同じように、医師が自宅に来るという仕組みで「往診」があります。しかし、往診は基本的には必要に応じて行われるものです。例えば、普段は外来にかかっている人が、何かの理由で通院できない場合にご自宅に伺う場合が往診です。

    普段からご自宅で診るという点が訪問診療と往診の違いです。

    訪問診療の対象となる方ですが、例えばご家族の送迎が必要など、お一人での通院が困難な方であればどなたでも受けられます。

    「自宅だと検査をやってもらえないのでは?」と思う方もおられるかも知れませんが、最近では様々な器機が出ていて、血液検査、超音波検査、レントゲン、心電図といった、通常の診療所レベルの検査は可能になっています。

    最近では訪問診療を提供する医療機関も増えてきており、選択肢が広がりつつあります。


    ◆訪問看護

    その名前の通り、看護師が訪問して体調管理をします。

    普段の様子を見たり、血圧測定などから、体の状態を判断してアドバイスしてくれます。

    そのほか、必要に応じて点滴も行ったり、リハビリもしてくれます。また訪問で得られた情報は、主治医との連携で共有されます。

    基本的には決まった曜日に定期的に訪問してくれますが、体調が変化した時には緊急で様子を見にきてくれます。

    料金体系はたいへん複雑なのですが、ざっくりとして1回30分未満の訪問で5000円程度です(※条件により変動します)。ただし介護保険が使えますので、介護認定されていれば1割負担ですと約500円になります。

    訪問看護でも、例えばがんの対応に慣れていたり、リハビリが得意だったりと特徴があります。


    ◆訪問薬局

    薬のプロである薬剤師さんがご自宅にお伺いして、医師が処方した薬を持ってきてくれ、説明もしてくれて、さらにお薬の不安への相談もできるというサービスです。

    また、お薬が合わない場合には主治医へおくすり変更の相談もしてくれます。

    月4回訪問なので、およそ週1回来てくれます。

    お薬を取りに行くのが大変な方、お薬が多い方、お薬の副作用が心配な方、お薬を飲み忘れてしまう方には特におすすめです。

    料金ですが、介護保険、医療保険が使えて、1割負担の場合は1回につきおよそ500円の自己負担になります。

    参考記事:訪問薬局のススメ


    ◆訪問リハビリ

    お年を取ると、どうしても体力が低下してきてしまいます。体力が落ちると、閉じこもりがちになり、認知機能の低下や気力の低下につながります。そしてさらに体力が落ちてしまうという悪循環になってしまいます。

    そのためしっかりとリハビリに取り組み、体力を維持することが大切になります。

    通いのリハビリもありますが、通いが大変・苦手という方には訪問リハビリがあります。

    週に1~2回、ご自宅にリハビリの専門職がお伺いして40分程度おうちで運動します。

    また普段も続けられるような運動のやり方も教えてくれます。

    介護保険が利用でき、1割負担ですと1回につきおよそ300円(※条件により異なります)です。

    これらの他にも、訪問歯科や訪問栄養指導など様々な職種が関わります。

    参考記事:お口の健康と在宅療養


    このように、在宅医療は多くのスタッフが関わって、皆さまが安心して過ごせるようにサポートしていきます。


    お一人お一人によって、適切なサービスの組み合わせや内容は変わります。ケアマネジャーにご相談頂くか、ケアエコの相談サービスをご利用ください。


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    安間 章裕(アンマ アキヒロ)
    日本内科学会認定総合内科専門医・日本感染症学会認定専門医
    2010年 浜松医科大学医学部卒業。亀田総合病院総合診療科、感染症科での研鑽を経て、茨城で在宅医療の立ち上げを行う。その後、地元である静岡県で感染症業務、在宅医療に携わっている。